新日本屁行 鳥海1号
「屁散人、鳥海山に行かね?」
「珍ちゃんね、屁散人、山嫌いなの、苦ちいのヤなの」
「たまにはね、苦しい思いをした方がいいの、特に屁散人は。毎日飲んで、ぶらぶら、んこコイてるだけなんだから」
「いーじゃんけ、こちとらの勝手じゃんけ」
「んなこと言ってるから、だんだんビンボになってゆくんだ。な、山にでも登って気持ちを入れ替えて……」
「ヤなこったぁ」
「標高2,236mからの雄大な眺めはいいよ~♪」
「べ~つに」
「あ、そう。山ガールがいっぱい来るんだけどなぁ、最近の山は」」
「山ガール♡♡♡」
「そーともさー、わんさか、わんわかか、かあいーとこだらけの、乳ぷっちんぷっちんの山ガールと一緒に登れんのね、これを逃しちゃ~イケマセン」
「行ぐたい♪」
「イーコ、イーコね、じゃ、参りましょかね」
「でも、行がね」
「どして?」
「屁散人、今、就活中だもん。秋田なんかとてもじゃないけど、お金無いもんね」
「そーくると思って、ちゃんと手立ては講じてあるんだよん」
「……」
「フェロ銀と相談して、屁散人の分は出してやろーって」
「何を?」
「交通費、宿泊費、食費、飲み代、デート代からスキン代、何から何まで、屁散人の分をじぇ~んぶフェロ銀と二人で出してやろーっつの」
「屁散人の分、じぇ~んぶ?」
「そーともぉ~」
「屁散人、お金持っていかなくていいのけ?」
「そーともぉ~」
「山ガールのかあいーねーちゃんとデートすることになっても、じぇ~んぶタダなのけ?」
「そーともぉ~」
「どこまで行っても、好きなだけ食べても飲んでも、タダなのね」
「そーともぉ~♪」
っつことで、山登りの苦しくて辛いことなんかサッポロ忘れ果て、8月23日(金)、東京駅午前9時48分発「つばさ177号」に颯爽と乗り込んでしまったのでありました。
参加者は、珍辰、フェロ銀、そすて屁散人の3人である。
珍辰、フェロ銀は、山の経験はたっぷり積んでいるけれど、屁散人は、んとに少しの経験しかない。
着るものも、装備も山向きのものは持ってない。
おまけに体力は、落ちるところまで落ち切った、腹デブ初老の若者である。
んだから、出かける10日ほど前から朝の歩きを再開したのだけれど、鳥海山は、んな付け焼刃が通用するような山ではない。
滑落する自分の姿が目に浮かんでくる。
1本の細い木に掴まりようやく転落は食い止めたものの、木がしなりだし、ポキポキ音を立てる。
あとは時間の問題。
怖ぇ~……
果たして2,236mを登りきることが出来るだろうか。
それとも、疲れ果てた屁散人は2人に見捨てられ、山ガールの尺八の餌食になってしまうのだろうか。
かよーな不安と恐怖を胸に、新幹線がす~っと動き出すとすぐに、
かんぱ~~い\(^o^)/
ビールが、んめ♪
目先のことさえ良ければ、後のことなんかどーでもいいのである。
屁散人は、キリン一番搾り。
旅の時くらい発泡酒ではなく、モノホンのビールでなくっちゃ。
珍辰は、プレミアムモルツを買って、屁散人との差別化を図った。
頭ん中の差別化では、屁散人の方が遥かに上なので、珍辰はこーゆーところで立ち打ちするしかないのである。
フェロ銀は、キリン一番搾りとワンカップを買って、珍辰とも屁散人とも、おいら違うかんね、とホーレー線をくしゃくしゃに伸ばして息巻いている。
屁散人は珍辰の隣の席だが、二人並んで座るときは、珍辰はいつも窓側に座る。
屁散人に外の景色を見せないためだ。
珍辰が窓側に座ると、外光が珍辰のアハハハゲにぶつかって激しく眩しく反射する。
嫌でも屁散人は、窓の外に目を向けられないのだった。
これを計算の上での、珍辰の屁散人への嫌がらせであり、いじめであり~のの窓側席取りなのだ。
新幹線は、新庄駅13時31分、定時に到着。
途中、小雨が降っているところもあったが、こちらはダイジャブ。
奥羽線の出発時刻まで50分ほどあったので、何回か行ったことのある「急行食堂」で昼食を摂ることにした。
珍辰、もつラーメン。
フェロ銀、チャーハン。
屁散人、納豆味噌ラーメン(んまし!)。
3人の中で一番高いのが、750円の納豆味噌ラーメンだった。
ご馳走してくれるんだもの、ちっとは遠慮しなくちゃ、とは思うものの、
「どこまで行っても、好きなだけ食べても飲んでも、タダなのね」
を信じているワダス。
珍辰の疲れ目とアハハハゲが、怒りに震えて、青白く光っている。
と、この調子で行くと、終わるまで1ヶ月はかかりそーなので、急げっ!
新庄から奥羽本線秋田行にて院内へ。
50分程で着。
駅には由利本荘市休養宿泊施設「鳥海荘」の送迎車が待っていてくれた。
運転手さんに頼んで、駅前で写真を撮ってもらう。
左より、珍辰、フェロ銀、屁散人。
約30分で宿に着いた。
5時過ぎくらいから雨がパラパラしてきたが、天気予報を見ているので、それは織り込み済み。
今晩から明日の明け方にかけて雨は降るものの、その後は晴れの予報である。
ただ……。
体の調子が少しヘン。
小さな地震が起きた時のように、くらくら~っと体が揺れる感じがするのである。
めまいなのだろうか。
夕食の時にもこれは続き、食事を残すなんてことほとんどしない屁散人が、作ってくれた人に申し訳ないと思いつつ、ムリコイてもどーしても食べられず、残さざるを得ない体調だった。
それを知ってか知らずか、向かい側に坐っていたフェロ銀が、屁散人の鍋に手を伸ばして、お肉をパクパク食べちゃうのである。
まったく、油断もスキもありゃしないが、それを押しとどめる元気がなくなっていた。
一体、屁散人の体、どーなっちゃったんだろう。
明日、鳥海山に登ることなんか出来るのだろうか。
屁散人、もう、終わりなんだろうか……。
くづつ
第9弾 昨日のお貯め(○○を買おう! 8月16日開始)
お投入=205円~♪
ご累計=1,157円~♪
■昨日のあんよの歩き(目標1時間以上!)
1時間25分
・屁見庵→ヴェルニー→汐入→浦賀道→屁見庵
・屁見庵←→汐入