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テ・デウム


実家に帰って本棚ごそごそしてたら、楽譜が出て来た。

楽譜は、一つはベートーベンの「第九」、もう一つはゾルタン・コダーイの「テ・デウム」である。

屁散人が20歳の頃、フィルハーモニー合唱団で歌った時のものだ。

指揮者の名前は忘れ、交響楽団の名前も忘れた。

東京交響楽団だったような気がするけれど、自信がない。

公演は厚生年金ホールで行われた。

「第九」を1回歌えればそれで満足なので、フィルハーモニー合唱団へは、「これっきり入団」であった。

そのつもりで入団した。

練習の時、前の方で歌っていたら、なんかの拍子に指揮者が、


「今回だけ歌ってやめよーと思ってるやつ」


と言うので、


「は~~いっ!」


って正直に元気よく手をあげたら、


「お前後ろヘ行け」


と後遷されてしまった。

んだもんで、練習休憩のときだったか、んなことゆーな、とパート長に怒られた。

合唱団にとっても迷惑な存在だったに違いない。

屁散人はテノールであった。

「第九」でテノールの一番高い音は、確か「A」だったと思う。

練習中は、すーっと抜けるような「A」が出たが、本番ではかすれて音が出なかった。

直前に、風邪をひいたかなんかしたためである。

これもおぼろな記憶であるが、終演後、合唱団の連中と朝まで飲んだ(のだと思う)。

夜明けの新宿をふらふら歩いている映像が、今でもうっすらと浮かぶ。

空しいような、そんな感覚に包まれながら歩いていた。

この後、成城大学の合唱団に入った。

これも「これっきり入団」である。

演目はハイドンの「天地創造」だった。

練習は友人と一緒に行ったけど、何故か気力がわかず、1,2回出ただけでやめてしまった。

今思えば、まことにもったいないことであった。

なぜなら、その時の指揮者は小澤征爾さんだったからだ。

もちりん、練習の最初の段階から小澤さんは出てこない。

もちっと我慢強く練習してたらなぁ、とは思うものの、今さら取り返すことが出来るものでもない。

「第九」と一緒に歌ったコダーイの「テ・デウム」は、日本初演であった。

もちりん、この曲を聞くのも歌うのも初めてだ。


     ぱぱー ぱぱぱぱぱぱぱーん!


という激しいトランペットで始まるこの曲は、今でも空で歌うことが出来る。

と言いたいけれど、覚えているのは、このトランペットのあとすぐに出て来る、


     テ デウム ラゥダーァームス!


と吼える所だけで、あとはほとんど忘れてしまっている。

楽譜を見ても歌えない。

「テ・デウム」は、この後、1度も聴いたことがない。

どこかでまだ演奏されているのだろうか。

レコードやCDが出されているのだろうか。

実家には、この時の演奏会のテープが残っているはずだ。

誰が録音したか分からないけど、オープンリールなので、どこかに頼んでCDに落してもらわなくっちゃならない。

モノラルで、録音もひどいものだったような記憶がある。

んがすかそ、もし、もう一度聴くことが出来たら、その中のどこかに確かに、20歳の屁散人がいる。

38年前の、全身が未来ばかりの、かすれた声で「A」をうなり出している屁散人がいるはずなのだった。

その屁散人に、会ってみたい。






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川崎・ヴェルニ・マンション・屁見庵 014.JPG

左「第九」と右「テ・デウム」の楽譜。「第九」の最後の部分は散逸してたな。






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コメント 2

hirochiki

こんにちは。
あの「第九」を合唱されたことがあるなんて、素晴らしいですね!
それにしても、この楽譜は歴史を感じますねぇ^^
実は、私も、中学時代に音楽部(合唱部)に所属しておりました♪
私は、話す声は低いのですが、歌う時はけっこう高い声が出るのです(*^^)v
カトリックの学校でしたので、ミサの時に聖歌などを歌っておりました~
私も、38年前のピチピチの屁散人さんにお会いしてみたいです(#^.^#)
ところで、ももちゃんは、どんなワンちゃんなのでしょうか?
by hirochiki (2010-11-17 15:47) 

屁散人

→hirochikiさん

あい、「第九」を歌いました。
ただし、それ以来まったく合唱には縁がありませんね。
聖歌を歌うのはまた、ずいぶんと気持ちのいいものだろうなぁ、と思います。
素人考えでは、なんとなく心が澄んでくるような。
特に女声は綺麗だからなぁ。
20歳の屁散人は、一体何を考えて「第九」を歌うつもりになったんでしょね。
モモは、雑種です。
大人しいメスですが、もう老犬の部類になりましたね。
んが、呼んでも来ないっつのは、全く変わりません♪

by 屁散人 (2010-11-18 07:42) 

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