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『われ中!』5 ~企み


     かなかなかなかなかな、だなぁ♪


徳良湖(とくらこ)オートキャンプ場のログハウスに泊った深夜、はっきりした声が聞こえたのである。

ジュエリ・八王子の寝言だった。

寝言なんつのは、だいたいが、むにゃむにゃしてよく聞き取れないのだけれど、寝ぼけの屁散人でもこれははっきり聞きとれた。

んでもって、ジュエリの寝言はこれだけではなかったのだが、残念ながらこれしか覚えてない。

珍辰も他のジュエリの寝言を聞いていて、これも残念ながら覚えてないという。

ジュエリは、屁散人より学年は一つ上である。

年齢でいえば、58歳ないし59歳のはずだ。

アラカン街道マッシグラなのであるが、この寝言の明るさはなんだろう。

この年代は、もうあらかたの苦難を舐めているはずだ。

回りを見回してごらんなさい、アラカンでこんな寝言をいう男がいるだろうか。

っつか、だいたいどんな夢見てたんだろう。


     かなかなかなかなかな、だなぁ♪


暗くて顔は全く見えなかったけど、きっとジュエリは笑っていたに違いない。

声がそーだった。

しやわせな痛風人である。

10時半に、山口食堂のヨイヤちゃんが、われわれを迎えに来てくれた。

っつか、拉致しに来たのだった。

食堂のテント片付けのためである。

車3台ほど止められる駐車場に設けられたテントは、解体するのがとても大変。

テントにした巨大なブルーシートを外してたたむのにも、男4人がかりでやっとこさである。

そのほか、あまたの単管のねじを外し、上からおろし、それを家の横に運び、積み上げ、それだけで汗だくとなった。

もちりん、ごほーびは、


     生ビールぅっ!!!


である。

『われ中!』は、生ビール! この一言で簡単にやられてしまうのだった。

そすて、来年、また来ようと思うのである。

もっとも、山口食堂としては、


     『われ中!』に売上のほとんど持って行かれた!


なのかもしれない。

すかそ、そー思いながらも、やつらをまた呼んでやっかぁ、と懐の広いところを見せているのだった。

ただ、一つやっかいな注文が残っていた。


     西瓜送って~♪


と言うメールが、あおばばばぁちゃんと珍辰のケータイに入っていたのである。

送り主は、あめどんだ。

自分が今回の「奉仕」に来られなかったことを妬んで、我々に負荷をかけようとしていたのだった。

我々が自分たちだけで楽しんでいるのが面白くないのである。

旅行へ行く時、お土産買って来てね~、とか、そっちに行ったらあれこれを送ってね~、なんつのは迷惑極まりないのである。

そんなこと言われただけで、気が滅入るのだった。

あめどんは、そこんところをちゃんと計算してメールを送りつけて来るのだ。


     あんたたちだけにいい思いはさせないわよ・・・


なんとか、我々の気を滅入らさなければならぬ。

フツー、なにかを頼むのならば、一人にメールすればよい。

んなのに、あめどんは、あおばばばぁちゃんと珍辰二人に、全く同じ「西瓜送れ」のメールを送っているのだった。


     誰にも楽はさせない・・・


この時ほど、自分のケータイが壊れちゃっていることが嬉しかったことはない。

あめどんの計略は、まんまと当たった。

なぜなら、今年の西瓜は、日照が良かったため出来が早くて出払ってしまい、我々の行く2日前の25日には、すでに八百屋の店頭に西瓜の姿はなかったのだった。

困った我々の依頼を受けて、山口食堂のショーちゃんと3女のイズッチは、知り合いの畑に車で行って、直接西瓜を切り取って来る羽目になったのである。

あめどんはメール1本で、我々のみならず、山口食堂の人たちをも走らせたのである。

これを、自分が行けないがゆえの、


     怨念


と言わずしてなんと言おうか。

こうまでしても、自分の存在を確かなものにしたいのだった。

そーすて、もう一人こっちに来られないゆえ、メールで怨念を送って来るのがいた。


     夏バテで食欲ゼロ。薄いお粥だけしか食べられな~い・・・


犬客だった。

飲んでいた我々は、


     ばんざーーーーいっ!


と一斉に立ち上がったのだった。

犬客は、あめどんと同じように、気分よく過ごさせまいという気持ちを、メールに籠めていたのだが、残念ながら、我々にとってこれほどの朗報はない。


     犬客の弱体化♪


これほど、元気を貰える話はないか!


「んなの、食いすぎに決まってんじゃん!」

「ほーさぁ、何でもかんでも食ってりゃ、そーなんのあったりまえじゃんけ!ザマーミロっち!だはは~♪」


嬉しい悲鳴を上げながら、生ビールをガバチョと飲み、ジュンペーちゃんの『冷やしラーメン』をごっそになってると、3時前に、今晩泊る赤倉温泉「田代館」のオヤジさんが車で迎えに来てくれた。

ここで、山口食堂及び、今日中に横浜の自宅へ帰るジュエリ・八王子とはお別れである。

車の中から後ろを振り向き振り向き、


     さいならぁ~


といいつつ、あおばばばぁちゃん、珍辰、屁散人の心は、早くも赤倉温泉にすっ飛んでいるのだった。



     (続く・・・何で終わらないのぉ。うはは・・・)





[ファーストフード]お体重セット(目標:朝の腹ペコ体重=64キロ 7月5日開始)

     昨夜の満腹体重=66.8キロ(当初70.8キロ比 -4.0キロ)

     朝の腹ペコ体重=65.1キロ(当初68.5キロ比 -3.4キロ)

 
[わーい(嬉しい顔)]第3弾 昨日のお貯め(日本国語大辞典購入!目標47,250円 8月31日開始)

     お投入=208

     ご累計=1,780円~♪


花笠尾羽根・赤倉温泉・新庄 077.JPG

静かな徳良湖の朝。
ここは人造湖で、大正時代ここを作る時に、歌われ踊られたのが花笠音頭だという。
花笠音頭発祥の地なのね、尾花沢は。
冬には、白鳥も飛来する。






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