ついでコロッケ：お嫁においで～♪：SSブログ

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ついでコロッケ [編集]

昨日は、やらねばならぬこと山積状態を崩すべく、朝からスコップ取り出し、鍬を振り上げ、ペンを突き刺し、ちまちまと激しく要件を片付けていたのだった。

んな時に限って、珍辰から、

「これから登庵すっから」

っつメールが入って来る。

原稿を書きに来るらしい。

さらに、んな時に限って、ジュエリ・八王子から、

「がはは～♪わたくし、ジュエリ・八王子と申します。宝石会社の社長さんなのだった。ガバチョと儲かっております。わたくしジュエリ・八王子と申します♪これから伺いたい。さよーに思うのだった。がはは～♪わたくし」

という電話がかかって来る。

例によって、自宅から葉山へ葉山コロッケを買いに来たので、ついでに屁見庵に寄る、というのである。

葉山から屁見までは、ついでなっていう距離ではないが、ジュエリ・八王子にとっては、屁散人はついで以外の何物でもないのだった。

珍辰は、屁見庵に入るや否や、冷蔵庫を開け、ビールを３本挿入した。

原稿書きに来ているのに、なぜビールを持ってくるのだろう。

始めから現行法規・・・原稿放棄しているのではないか。

冷蔵庫の中には、屁散人のビールがギッシリと４本入っている。

正確に言うと、ビールではなく、ビールもどきの発泡酒である。

珍辰は、その横にこれ見よ菓子！にモノホンのビールを並べるのである。

お酒を飲まない人には分からないだろうが、屁散人の飲んでいるのは、「金麦」というビールもどきの安物発泡酒である。

珍辰が持ってきたのは、サントリー・プレミアムといってビールでも高級に部類するもので、屁散人も滅多に飲んだことのない代物だ。

かあいさ、頭脳の明晰さ、脚の長さ、女の子にモテモテさにおいて屁散人に劣っている珍辰は、こういうことでしか屁散人にリベンジ出来ないのだった。

しばらくしてジュエリ・八王子が汗かいて登って来た。

東戸塚の自宅から葉山へ行き、さらに自転車引っ張って、屁見庵への１８６段を登って来たのである。

それは単に、

　　　　　コロッケを届けに

来ただけなのだった。

汗びっしょりになってコロッケ届けて、こういうのを、

　　　　　ついで

というのだろうか。

とうじぇんのことながら、珍辰の原稿書き計画はこの段階で壊滅し、屁散人の所用解消計画も途中で放棄せざるを得なくなったのだった。

んでもって、ジュエリは、

「がはは～♪わたくし、ジュエリ・八王子と申します。宝石会社の社長さんなのだった。ガバチョと儲かっております。わたくしジュエリ・八王子と申します♪」

「それはもういいっつの！」

「がは・・・」

「んで、なに言わんと欲したまふのけ」

「わたくし、ジュエリ・八王子のご先祖さまは、咸臨丸に乗ってアメリカに行ったのでございます」

「げっ、んとけ？」　←屁散人の声

「すっげ！」　←珍辰の声

「がはは～♪わたくし、ジュエリ・八王子のご先祖様は、立派だったのだ。がはは～、わたくし、ジュエリ・八王子と申します。宝石会社の社長さん。がはは～♪わたくし・・・」

「んで、どんなご先祖さんなの？」

「はい、わたくし、ジュエリ・八王子の、おじいちゃんのおじいちゃんのいとこ、でございます。がはは～♪わたくし、ジュエリ・八王子のです」

「あの、それってほとんど血のつながりっつか、関係ないんでなくね、ジュエリとは」

ジュエリの言う、おじいちゃんのおじいちゃんのいとこ、という御先祖さんは、咸臨丸で渡米を果たし、さらに開成学園の創立者という立派な人物である。

どーみても、自転車に乗ってコロッケとチャーシュー買って来るおっさんが、その末裔とは思われない。

ご先祖さまに申し訳ない、と屁散人でさえ謝りたくなるのだった。

まぁ、すかそこーゆー話が身近にあるっつのも楽しいもんだ。

咸臨丸に乗った人の「子孫の会」っつのがあるから、ジュエリもそこを覗いてみたらどかね、と思う。

面白い話がいっぱい聞けるんじゃないかなぁ。

ね～ん♪